PRODUCED BY 品川女子学院
白ばら日記

課題解決型学習での生徒の気づき

今,教育改革が進む中で、教育手法も変化いています。従来の一斉教授型から、個人ワークとグループワークを組み合わせた「個別と協働」型の授業、また、教えられた正解を記憶するような授業から、自ら課題を見つけ、解決法を考え行動するような「課題解決学習」など。

テクノロジーの進化で、AIにできることが増える中、これまでの蓄積がないような新たな課題に向き合うとき、人間ならではの力が発揮されます。未来社会の変化に備えて、そんな力と志を育てていきたいと思っています。

これまで行ってきた企業コラボや起業体験などもその一つです。さらに、ここ数年は家庭科の授業の中でチャレンジベースドラーニングとよぶ、身近な課題を発見して解決のアクションを起こす授業に取り組んでいます。生徒のチームには、家庭科の教員だけでなく、ボランティアで手を挙げた多様な教科の教員がメンターとしてつきます。

昨年度の取り組みが、記事になりましたので、ご紹介します。

「子宮頸がんについてもっと多くの人に知ってほしい。品川女子学院から始まった「子宮頸がんかるた」プロジェクト」(私学妙案研究所News)

「課題解決型学習から得られるものは何か 品川女子学院「子宮頸がんかるた」プロジェクトで見えたもの」

 

生徒達の気づきをシェアします。以前、生徒に「恵まれすぎていて社会課題が分からない」と言われたことがありますが、このプログラムの中で、課題に気づき、考えを深め、チームで動く力が育まれていることが分かります。

・今まではグループで何か活動をするときも大体中心メンバーがいて、他の人は何もしないというような
ことが多かったが、CBLは全員がちゃんと動かないと終わらないので、全員で協力できた。今までやっ
てきたグループ作業より楽しくて、やれる人がやればいい、から、全員でやる方が楽しいという考え方
になった。

・CBLは正解がないから、自分たちで考えるしかなくて、色々実験などを考えるのが楽しかった。将来会
社に就職したくないと思っていたけど、こういうことが出来るならありだと思った。

・今までいつも人の意見を聞いて「確かに!」ということばかりだったが、人の意見を聞いて自分の思っ
たことについて発言してみたり、自分の意見について考えられるようになった。また、今まで何かを真
面目に一生懸命やることが、やらなくちゃいけないこと以外にはなかなかなくて、自分から「もっとや
ろう!」って気になることが新鮮だった。

・前は、資料の分析や考えることが苦手だった。考えるのも嫌だった。今は、わかりやすく”伝える”こと
の大切さを知った。ただ、誰かの文をそのままコピーするのではなく、自分の言葉で伝えることがいい
のだと思った。

・自分がこんなにも普段から身近で行われていることに対して疑問や関心を持っていないことに驚いた。
CBLを通して、1つの社会問題がどんなに小さなことだとしても、問題を解決しようと自分でアクショ
ンを起こすことの大変さや重大さを学びました。

・自分が少し行動したからといって何も変わらないと今までは感じていたことも、実際に身近な品女生の
歩数が伸びているのをみて、思っていたよりも1人1人の私自身の行動が大切だと知れた。

・今まで自分が品女で培ってきた経験の多くを生かすこともでき、まだ未熟な点が多くあることに高校生
の今から気がつくことができた。

・十人十色は言葉の通りで、同じ歳で同じ学校に通っていても、ものの考え方や”この人はこんなところに
アンテナはっているのか!”というようないい意味での驚き、刺激があり、以前よりも自分と違う考え方
をする人に寛容になれた気がする。

・グループで話し合いを作っていく中では、メンバーの多様性が大切だなと実感した。今までは自分と仲
が良い、同じような性格の人たちが集まって作業した方が楽だと思っていたが、今回色々なタイプの人
が集まり、役割分担や話し合いがうまく調和したなと感じた。

・普段関わりのない人と関わって、問題を解決しようとするために話し合い、外部の人や知らなかったこ
とを多く知ることができたので、新しいことを知る楽しさを再確認できた。

・問題の解決策を生み出すだけではなく、それを実行し、ダメだったところを改善することで、より良い
解決策を見つけることができるんだとわかった。

・CBLを始める前は日常で多々ある困ったことや問題点などをどうにかしたいけど自分の力じゃ無理だと
思っていたが、行動を起こせば変わると思えるようになった。

・(緊急事態宣言の閉校期間)zoomで授業を受けたり、先生が作って下さった動画をみて勉強することがほとんどで、友達とも話すことがなく、必要最低限しか外に出なかったので、親としか話していない中でのCBLの授業で友達と話し合うのは新鮮でとてもよかった。友達と他愛ない話をするのは学校生活の中で大切なのだと気付かされた。

・初めて身近な問題を解決しようとプランをたてて、解決策を実際に実行してみるということをして、エ
ピソード集め(身近な問題集め)の段階から身近には今まで気がついていないだけで、解決すべき問題
がたくさんあるんだと思いました。また、CBL期間中は1つの問題を長期的に解決していくということ
を通して、1つの物事を改善にもっていく難しさ、解決策をみんなに積極的にやってもらう難しさを感
じました。全体を通して、長く大変だったけど、班員と協力して楽しく、やりがいのある問題に取り組
めました。

・次の話し合いまで3日しかなかったため、お風呂に入っている時も考えていた結果、急にアイディアが
浮かんできて、でもそのアイディアにもまだまだ穴があって、だけど一度考えてみたものだし、提案し
ようと重い提案してみました。普段からあまり自分の考えていることを外に発せないので、変に思われ
たらどうしようと思いながら提案したのですが、ある1人の班員が「いいと思う!」と言ってくれた時
にお世辞でも嬉しく、自信のないものだったけど認めてもらえたような気がしてとても嬉しくなったの
を覚えています。そのアイディアから改良を加え、解決策になり、最後にはみんなに使ってもらえてさ
らにプレゼンも形にできたのがとても嬉しかったです。この経験を通して、私も人に積極的に「いい
ね!」を言える人になりたいと思いました。

・自分の意見をしっかり伝えるのと同時に、相手の意見をしっかり聞くことが大事ということがわかりま
した。これは当たり前のことだと思いますが、とても難しいことだと気がつきました。自分と違う意見
を否定するのではなく、なぜそういう考えになったのかを考えることによって、相手の意見の良さがわ
かり、お互いがお互いの意見の良さがわかるので、より良い意見が見つかることが分かりました。
正直人と協力してやるより一人で頑張る方がいいと思っていたが、「一人では絶対できなかったな」
「メンバーがいてくれてよかった」と感じることが本当によかった。

・CBLを通して、仲間との関係の重要さがわかった。ありがとう、お疲れ様を欠かさず言うと全員が心地
よく進めることができた。

・こういう風に一から十まで自分たちでこんなに深く細かく1つのことを調べ上げるなんてなかなかな
い。意見を1つ立証するにもたくさんの根拠や数字が必要なのだと知り、偏った意見はもう持てない
なぁと思った。

・多数決で決めたほうが早く決定できるが、時間がかかっても全員の納得会を話し合うことで、全員が責
任をもって取り組めた。最終的にはこの方法が効率がよかった。

・CBLの活動を通して、大きな課題・問題であっても、身近な部分から自分たちがアクションを起こせ
ば、解決策が見えてきて、またさらにアクションを起こしたくなる。そんな気持ちが芽生えました。こ
れから大学生になっても、社会人になってもこの気持ちを忘れず、チャレンジして学ぶ心を育て続けた
いと思いました。

・自分はリーダー気質だと思ってたけど、実際はそんなことなくて、多くの人に支えられながら、自分ら
しさを発揮できることを知った。上に立つのではなく、協力して進めることが私は得意なことに気がつ
いた。

・「得意な分野で貢献し、苦手な分野は任せる」ことが体得できた。それが許されることで、チームのた
めになるのだと理解することができた。チーム内の雰囲気を明るく、正直なことを言える場にしておく
ことで、個々の得意分野を心地よく生かせると気づいた。チームのために何か作業をしてあまりしんど
いと思わなかったのは初めてに近く、自分自身の新しい発見だった。

・社会の色々な問題について目がいくようになった。そして、その問題をどのように解決すれば良いのか
も考えるようになった。既存の解決策も、もっとこうすればいいのにという観点で見れるようになっ
た。

・ただ問題だなと思うだけではダメなことに気付かされた。問題と言っても細かくみて、どの部分が原因
であるかを考え、またそれに対してどのように解決するか、生半可な気持ちでできないなと思った。
日々些細なことでも、何が原因なんだろうと考えられるようになりました!!

・仕事の役割分担や、同じ役割の人との情報共有がしっかりできていなかったため、個人の仕事量に大き
な差ができてしまった。これらを解消するためには、それぞれの仕事の内容や進捗状況を逐一報告し合
うべきだったと思う。

・みんなで話して意見を出すことがあまり得意なほうではなかったが、1人での作業とは違った見方や策
を出すことができ、楽しさもあり、グループならではの苦労もありながら、グループワークを好きにな
れた。

・テーマから全て自分たちのやりたいことを自由にできて、サポートも手厚かったため、心から”変えた
い”と思いながら熱心にできることを見つけた。自分でもその気づきから行動し、何かを変えることがで
きると自信がついた。

・ただ意見をいうだけでなく客観的な立場から言うよう心がけたり、反対意見を言う時には代替案を提案
するようにした。

・班がピリピリしているときに意見だけ言ことはダメだと再確認した。

・途中色々迷ったり、テーマと少し違うことを調べたりしていたので、テーマの一貫性が足りなかったと
思う。しつこいほどテーマの再確認をして、解決策に導いた方がよかったと思った。

・メンバーと半年間やっていく難しさ。皆モチベーションが下がる時もあるので、その時にいかに話に参
加させるかや仕事の振り方で作業効率が上がるか等のことが難しくためになった。

・話がつまってしまっている時は明るく雑談に話を進めたり、班内で仕事量に差ができないように均等に
割り振って互いに信頼と責任を持たせて仕事ふることが出来た。

・夏休みなど学校がないときの予定表を作り共有した。また、その予定表通りに進められるようにメン
ターの先生と連絡をとったり、CBLの班のslackで「◯◯日に◯◯やる」や「記録シートに各自が書いて
おいてほしいこと」などを送ることで誰かが忘れることを防いだ。

・誰かがやるからいいやではなくて、自分からもっと積極的に動こうと思った。

・話すだけじゃなくて、相手のことも聞かないと良い話し合いはできないんだとわかりました。

・今誰が何をしていて、期限がいつまでなのかなどを、slackなどで定期的に流した方が互いに安心できる
と思う。互いの進捗状況がわからないと、自分だけ重いタスクを任されているんじゃないかと不満を感
じることもあると思うので…

・記録シートに仕事内容ややるべきことを書いていたが、認識の違い、仕事内容の勘違いが起きてしま
い、班の雰囲気が悪くなってしまった時、記録係の延長としてその日のうちに話し合った内容と、次に
誰がいつまでに何をやるかを簡潔にまとめたものをグループのLINEに送り、すぐ見れるようにして、勘
違いを防ぐことを提案し、実行した。それ以降勘違いは起きなかった。

・1人の意見がしっかりしていれば進むと思っていたけれど、みんなの納得できる1つの案の方がうまく進
むと気がつきました。

・改めて諦めないことの大切さを感じた。本当に考えて頑張ったものは達成感も大きく、ようやく達成感
を感じることができた気がする。どんなに大変でも感謝すること、人に頼ってもいいんだなと思った。
「班長だから自分が一番にやる」という場面と、「全体を見て最後にまとめる」という2つの役割をそ
の時の状況を見極めて担うようにした。

・自分はそうじゃないと思っていたことを誰かが言った時に、頭ごなしに否定するのではなくて、1回受
け止めて自分の中で消化してから、肯定・否定の意見を言えるようになった。

こうした気づきを読んでいて、また、卒業生の調査から、本校の様々なプロジェクトが社会で生きる力を育んでいることを確信し、さらに磨きをかけていきたいと思っています。そして、この学びを中断してしまう記憶型の大学入試が一日も早く変わることを願って提言の場でもこうした事例をまじえて、常に発言しています。その甲斐あって、検討する場が設けられ、具体的な動きも出てきました。子供達の未来から逆算し、将来社会に貢献できるような力を中高時代につけられるよう、これからも、このような取り組みを進めていきます。