PRODUCED BY 品川女子学院
白ばら日記

大学出張授業【上智大学・明治大学】

 

 

大学出張授業の様子を担当の田辺と金田から報告します。

大学出張授業「統計学をもちいたファイナンス」
上智大学 経済学部経済学科 竹内明香先生

大学出張授業の経済学の授業として上智大学経済学部経済学科の竹内明香先生にリモート授業で「経済学をもちいたファイナンス」をテーマにご講義いただきました。
ファイナンスについて話すにあたり、まずは投資について説明がありました。

 

投資とは「将来の収益を見越してなんらかの行動を起こすこと」であり、この講義では株式・債券という金融証券を投資対象としてお話しされました。
身近な投資の例として、年金・生命保険などの保険商品・退職金などが挙げられ、投資をしている実感はないものの、実は自分たちのお金も投資として運用されています。投資をするということは、銀行で預金するよりも高い利益が得られる可能性はあるものの、得をするか損をするかということは不確実で、リスク、つまり制約があります。損失の可能性があるものの、投資による収益を得るためには、投資した額の何倍の利益が得られたのかという収益率を知る必要があります。目先の利益より、1株当たりの金額、その株の購入数、収益額を比較し、収益率を考える必要があります。
期待される収益率は、購入時の株価、購入数、配当、売却時の株価によって変動し将来の収益率の予測値を考え算出、この値を「期待収益率」と呼ぶそうですが、この数値のばらつきが多いほどリスクが高くなるので、損をしないためにはばらつきの小さい株を選ぶことが投資のポイントになるようです。
「ハイリスク・ハイリターン」という言葉は、日常でも聞いたことがあるかと思いますが、期待収益率にばらつきがあり、その数値が高いと収益として高い可能性はあるものの、損をする可能性も。利益だけが上がる投資はないということにでした。
このリスクとリターンを可視化するために、数値化することが必要となります。ここで経済学がより一層必要になるようです。統計学として分析、数式にすることで、予測がつけられることになります。
さらに、統計学を経済分析に応用するという手法もあるそうです。個人消費が増えれば景気はよくなるものの、個人消費が増えるには収入が増える必要があります。経済分析として所得と収入の数値をグラフにしデータ分析する、数式としてCi=α×βYi(C消費支出、Y所得)という式が出てきます。ミクロ経済学とも言われるものだそうですが、消費と所得の関係を裏付ける数式となっているそうです。これは政治政策にも関わることで、この数字によって政治も動くことに!
なかなか難しいお話でしたが、生徒からは、
「お金を持っていたら、銀行に預けるだけでなく投資をするという選択肢もあるんだなと思った」
「経済学で数式を使うことを知らなかったので驚いた」
「経済学は文系に分類されているが、数学の考え方も多く使われていて驚いた」
という感想がありました。
経済学の中で、数値化、数式の利用が多くあり、生徒には新鮮だったようです。

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明治大学 情報コミュニケーション学部より、南後由和先生に、Zoomを利用して講義していただきました。
ご専門は社会学(都市・建築論)で、講義テーマは「都市に潜むグラフィティ/落書きの秘密」です。
講義スタイルは講義中心型でした。普段、話し合いなどグループ活動を取り入れた授業が多い生徒たちですが、40名超の受講者全員が、とても真剣に聴いていました。


「大学の講義」を体感できる良い機会になったと思います。
講義の最初に先生は、「落書き/グラフィティ」を考察対象とする意義について説明してくださいました。普段何気なく見過ごしている日常の風景を読み解くことで、物事をこれまでと異なる角度から見ることができるようになり、それにより視野が広がったり、新しい世界が開けたりするというものです。
今回の講義では、「落書き」が「グラフィティ」とも呼ばれること、「迷惑行為・犯罪」として認識していたものを「芸術」として評価する人がいることを知ることができました。また、グラフィティは「タグ」や「マスターピース」などいくつかの表現様式をもち、それぞれが発するメッセージに相違があること、書かれた場所・量には作成者の背景に迫る手がかりが隠されていることも、理解することができました。身近なところにテーマを設定し、事例を示す写真資料などを効果的に用いてくださったこともあり、一人ひとりが深く考えながら受講できたと思います。最後に出た質問も鋭いもので、先生から「良い質問ですね」とうれしいお言葉もいただけました。

通学途中にも目にするであろう「落書き/グラフィティ」ですから、帰り道の景色はこれまでと異なって見え、新しい世界が開けた人も多かったのではないかと思います。
これを機会に新しい見方・考え方を身につける楽しさや喜びを知り、さらに自分の世界を広げていくことができると良いなと感じました。