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図書室日記

図書委員広報班より

今年は寅年ということで、「虎」が出てくる小説を紹介します。

『ジョゼと虎と魚たち』田辺聖子:著/KADOKAWA(角川文庫)

田辺聖子さんの『ジョゼと虎と魚たち』。男と女の駆け引きや別れ、さまざまな愛を描いた短編集です。

表題作である「ジョゼと虎と魚たち」では、椅子がないと自由に動けないジョゼ(本名山村クミ子)と、彼女が「管理人」と呼ぶ年下の青年・恒夫の出会いと同棲生活が描かれます。読み終わったとき、本当の幸福とは何なのか考え込んでしまいました。不思議で、新鮮で、どこか色っぽいふたりの関係性に目が離せません。2003年に実写映画化、2020年にはアニメ映画化もされているので、見比べてみても面白いでしょう。

この他にも8編の短編が収められており、登場する主人公の女性は年齢も職業もみなばらばらですが、自分自身の生き方をしっかり持っていて、魅力的です。また、全編で飛び交う関西弁には独特の空気感を感じました。

大人になってから読んだらまた新しい発見が生まれそうな、奥深くて、でも軽やかな一冊です。

 

図書委員広報班4年