PRODUCED BY 品川女子学院
白ばら日記

大学出張授業(立教大学・昭和大学)

満開の見頃はあっという間に過ぎ、カフェテリア横の桜も今は緑の葉が出てきています。

新しいメンバーも加わり、教職員はせっせと新学期の準備中です。

生徒の新入生歓迎会のリハーサルの音が聞こえてきます。

各クラブ、春の定期演奏会、発表会が一段落しました。コロナ禍でお客様にご披露できないことが残念です。

4月が誕生月なので、皆様からお花をいただき、春の香りに包まれています。(吹奏楽部の保護者の皆様からいただいたお花。ありがとうございました。)

還暦の年もあっという間に過ぎてしまいました。

******

大学出張授業の続きです。大学で学ぶ学問は高校時代にイメージしているものと違うところも多いので、こうして直接お話が聞けるのは貴重な機会だと実感するような内容ですね。

*担当の金田より以下報告です。

立教大学法学部国際ビジネス法学科より、早川吉尚先生にお越しいただきました。テーマは法学入門(法学における頭の使い方を身近なルールを題材に体験する)です

今回の講義は、上述のテーマに即した先生の発問に対して、生徒が応答するという形で進められました。発問はいずれも、「難しくはないけれど、自分で考えなければ答えられない」という性格のものでしたので、20名弱の受講者全員が、「次はどんな問いを投げかけられるのだろう」と考えながら真剣に聴いていました。発問の一部をご紹介します。

①あるときあなたは、家の近くのコンビニに買い物に行くのに、アパートの脇に置いてあった誰かの自転車を無断で拝借しました。無断とはいえ、コンビニの行き帰りのわずかな時間で、しかも使用後は元あった場所にきちんと返しました。これは、窃盗罪にあたりますか。

②あるときあなたは、住宅街を歩いていて、携帯の画面に出てきた「使用可能なWi-Fi」を拝借しました。これは、窃盗罪にあたりますか。

③あるときあなたは、他人の家の玄関前に電源コードを見つけ、無断で携帯の充電をしました。これは窃盗罪にあたりますか。

保護者のみなさまは、どのように答えられますか。今回のクラスでは、①は当てられた生徒全員が「窃盗罪にあたる」と答え、②と③については、「窃盗罪にあたる」という生徒と「あたらない」という生徒に割れました。

一通り聞き終わったあと先生は、「どれが『窃盗罪』にあたるかは、それが窃盗罪を規定する、刑法235条の条文中に明記された行為か否かで決まる」とおっしゃいました。そして、この法律の文面というのは、「法的思考力(リーガルマインド)」に基づいて考え抜かれた結果である、と。その上で、法的思考力とはどのようなものであるかも、さまざまな事例を用いて説明してくださいました。

「法学部」というと、「法律に関する知識」を学ぶと考えがちです。しかし今回、「Aという法律が規定されるに至った背景に、どのような考え方があるのか」を分析し、その妥当性について考えることも法学の重要な要素であることを教えていただきました。一つの気づきですが、お嬢さま方にとっては世の中の見方を変えることができる、大事な気づきになったように思います。

 

*担当の中山より以下報告です。

昭和大学 薬学部 社会健康薬学講座 医薬品評価薬学部門 亀井大輔先生
「新しい薬学教育の動向」-対人援助職としての薬剤師養成プログラム-

冒頭,先生から「これまでの『薬学部』のイメージがかわります」という声かけからはじまりました。

薬学部には6年制と4年制があり,その説明をうけたあと「薬剤師のイメージは?薬剤師は何をする人?」という問いかけがありました。

これまでは,調剤業務・情報提供・薬歴記載…というどちらかというと薬中心でした。
数年前から現在では,薬効評価・副作用モニタリング…という患者中心にものごとを考える,つまり,対物(薬中心)業務から対人(患者中心)業務へと変わってきているというお話でした。
きちんと薬を処方されることで,本当に大事なことは,薬を飲んでよくなることであり,目的は薬を飲んだあとの病気や体調の改善です。医師や看護師などとともに、薬剤師も患者を助ける一躍を担うことになります。

つづいて薬学教育カリキュラムについてのお話がありました。

「薬学部をどのようにして選びますか?」

自分の薬剤師像に合致した大学や薬学部を選ぶことが大事というお話でした。
昭和大学では,チーム医療を担う病院薬剤師養成に特化しています。
亀井先生の授業を通して,生徒たちは薬剤師の幅の広さを知ったのではないでしょうか。
自分の考えに合った大学を選ぶことが,学習意欲や目標につながる第一歩になると思います。