PRODUCED BY 品川女子学院
白ばら日記

令和3年度 卒業式

卒業式を無事、行うことができました。

フラワーアレンジ部が活けてくれた壇上の花を玄関にしばらく飾りました。

私からのお話の要旨は最後につけます。

高等部校長の式辞

答辞も送辞も、自分の言葉で語られた心に響くものでした。

卒業記念品はデジタルサイネージをいただきました。在校生が便利に使うと思います。

「世界は多様性を必要としています」という言葉があります。ここにいる全員のみなさんが、どこかで目にしたことがあるのではないでしょうか。

校舎のあちこちに貼ってある、生徒の作った本校のポスターに掲げられた言葉です。5年前に作られたものですが、今、この言葉の意味を深く考えるときが来ています。

21世紀になり、地球上の環境問題、コロナなど、国境を越えて協力しなければ解決しない問題が次々とおきています。そんなときに、ロシアによるウクライナ侵攻は10代のみなさんの目にどのように映っているでしょうか。私は、親から戦争の話をよく聞かされていましたが、21世紀の今、このようなことが起きることにショックをうけています。

私は昨年みなさんに、真珠湾攻撃後の開戦決議の話をしました。日本と戦争をするかしないかという決議に、下院は、賛成388対反対1。議会でたった一人、反対したのが、だれだったか。アメリカ史上初の女性議員でした。そのとき、彼女が言ったことばが、

“As a woman I can’t go to war, and I refuse to send anyone else.”(私は女性として戦争には行けないし、誰かほかの人を戦争に送ることも拒否します。)”

私がこの言葉を聞いたとき、思い出したのが、与謝野晶子の「君しにたもうことなかれ」です。日本とロシアの戦争で、戦場にいた弟を思って書いた詞です。このときももちろん日本の議会に女性は一人もいません。

そこで、現在のロシアの女性議員比率を調べてみました。下院で16%日本の衆議院9・9%より高い数字です。しかし社会の仕組みとして、一人の人が意志決定できてしまえば、こうした判断がされるのでしょう。意志決定の場に多様性が欠けることの恐ろしさを感じざるを得ません。

多様性を受け入れるのは容易なことではありません。正義の対義語はなんでしょう?と聞かれたことがあります。それは、「もう一つの正義」だそうです。相手の正義の背景には何があるか、地政学的、歴史的、文化的、宗教的に多様な角度から学び判断の土台としての知識をつけることも必要でしょう。その上で、共感力をもって互いを活かし合う、それが、ポスターに込められた意味なのでしょう。

私たちの学校は、震災の復興時の社会貢献活動を元に作られた学校です。戦中戦後を通して、平和を願う校歌を変えずに来ました。みなさんの学年は、多くの新しいことにチャレンジし、自ら課題を見つけ、行動を起こしました。どうか、卒業後も、校歌に歌われた「我ら、平和の使い、ともに優しきこころ、おこない」を実践し、世の中によりよい違いを作る人であってください。

3月30日、オンラインのパネルに出ます。再掲します。

学びのイノベーション・プラットフォームSTEAM人 材教育研究会
日時:2022年3月30日(水) 13:00 - 15:00
形式:オンラインzoomウェビナー開催
主催:一般社団法人学びのイノベーション・プラットフォーム
協力:東京大学生産技術研究所
司会:岡部 徹 (東京大学生産技術研究所長)

■パネルディスカッション  テーマ:「未来の人材」
新田 八朗 (富山県知事)
「幸せ人口1000万〜ウェルビーイング先進地域、富山〜」
清川 卓二 (清川メッキ工業株式会社 専務取締役・元福井商工会議所青年部会長)
「新時代のキャリア教育 ~学校と地域の連携・協働~」
馬田 隆明(東京大学FoundXディレクター)
「すべての人のためのアントレプレナーシップ教育」
漆 紫穂子(品川女子学院理事長)
「未来から逆算した中等教育に必要な校外との連携」
藤井 輝夫(東京大学総長)
「Society 5.0の実現に向けた教育・人材育成」