瀬戸内寂聴さんを偲ぶ
瀬戸内寂聴さんの訃報に接し、心からお悔やみ申し上げます。
以前、生徒にお話をしてくださった時のことを思い出しました。
瀬戸内さんは源氏物語の現代語訳をなさっていました。あるとき、映画ガイアシンフォニーの題字を書かれたことでも著名な舞踏家西川千麗さん(故人)の創作舞踊、「源氏物語」の鑑賞に先駆けて、本校の生徒に向けて講演をしてくださることになりました。
源氏物語の解説にとどまらず、ご自身の人生のこと、女性の生き方のこと様々なお話を楽しく、分かり易くしてくださいました。
質疑応答の時間になって、気さくなやりとりにすっかり打ち解けた生徒が、
「髪は何を使って剃っていらっしゃるんですか?」
と質問してしまいました。私は、ヒヤッとして息をのみましたが、瀬戸内さんは、
「〇〇というメーカーのカミソリよ。その話を講演でしたら1年分贈ってくれたの」と笑って、
「触ってみる?」となんと、生徒に頭を触らせてくださったのです。
学校から舞台までお送りする車の中でも、西川さんを応援なさるお話に、本当に優しく気さくで思いやり深い方だなぁと実感しました。
その後、病気をされたとき、番組の中で「人の役に立てないのはいや!」と病気を克服なさる様子が報道され、今もその言葉が忘れられません。
私も昨年二度の入院手術を経験し、還暦を迎え、そろそろ人生を逆算するようになってきました。
瀬戸内さんの遺された言葉を胸に、これからも少しでも人の役に立つ人生を送っていきたいと思っています。
2021.11.15 [その他]