PRODUCED BY 品川女子学院
高等部校長

少し背伸びをする場所

昨日の総合学習後半は、第1体育館で文化祭起業体験の表彰式が行われました。結果発表の前に、私からは文化祭について以下のようなお話しをしました。一部順序を変え、補足して概要をお伝えします。

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私は、品女の文化祭は少し背伸びをする場所だと思っています。今年のCBLは、なかなか難しいテーマを選んだグループが多かったようです。仮説を立てるまでは良いのですが、テーマが難しい分だけ実行・検証が難しかったチームもあるでしょう。しかし、仮説がなければ何も始まりません。私は、いい意味でちょっと背伸びをしてテーマを設定できたと思います。そして、その後実践してきたプロセスこそが財産です。

起業体験の3年生は、自分たちのメンタルな部分がスタートになっているクラスが多かったと思います。素直な感情からスタートして、ちょっと背伸びをして解決策を考えだし、株式会社として運営しました。なにぶん初めてのことですから、理念を商品・サービスへと具体化するのがとても難しかったと思いますが、1日目終了後の修正力はすばらしかったと思います。

4,5年生は、とても身近で専門的なグループもありましたが、より「社会」を意識した企画になっていました。はっきりとした社会問題に目を向け、未来までも見据えて解決に取り組んでいました。売上げに苦労した企画もありましたが、大学生でも扱いをためらうような社会問題に取り組み、解決の糸口を掴んだグループもありました。5年生は2年後、大学に入っても背伸びをしなくて良いと思います。周りの視線がさほど高くありませんから。この学校の文化祭で扱ったテーマや実践してきた内容が、どれだけのものだったか、その時わかると思います。

背伸びをしろというのは、自分の実力に合わないことをしろという意味ではありません。まず視線を上げて、周りを見てみなければ、解決の道筋は探せません。時には、どれだけ背伸びしても解決策が見えない場合もあるでしょう。でも背伸びをして視線を上げれば、少なくとも自分の立ち位置がわかります。そのことが大切です。そういう意味で、品女の文化祭は、自分の今の力、問題解決力を知る良い機会だった思います。

6ヶ月にわたるプログラムを支え続けたのは、実行委員起業体験班。その班長が「背伸び」を演じてくれました。

2022.9.29 [高等部校長]