『源氏物語』(20250120)
中高の国語の教員として、共通テスト(旧センター試験)の国語の問題を解くことは毎年の習慣になっています。
今年は古典の問題の出典の一つとして、ひさびさに『源氏物語』が出てきました。
若菜下で、晩年の源氏に、めぐる因果が圧倒的な重みで降りかかってくる場面です。
わっ、六条御息所(の怨霊)きた! と、設問そっちのけで思いを致してしまいました。
女三の宮、柏木、紫の上、六条御息所。この場面の前後で、『源氏物語』の一番深いところが表出していると思います。
六条御息所は、この20年前も、源氏の正妻葵の上のもとに生き霊となって現れています。
嘆きわび空に乱るる我が魂(たま)を結びとどめよしたがひの褄(つま)
我が身を抜け出てさまよう私の魂を繋ぎ止めてくれ、と葵の上が六条御息所の顔になって歌を読むところは、私の中では物語いちの恐怖場面です。
(『源氏物語』について語りだすと長い)
2025.1.20 [中等部校長]