2020文化祭①
今年の白ばら祭は、換気や消毒などできうる限りの感染防止策をとり、生徒と保護者を3タームに分け、密を避ける仕組みを考えなんとか実施することができました。 品女で過ごす生徒の1年は二度と戻ってきません。授業だけでなく、部活や行事など、学校生活全般の経験を止めないように、安全を最優先しつつ、あきらめず、できる限りのことをやっていくのが私たちの方針です。 私たちの学校は社会とのつながりを大切にしていますが、コロナ禍で制約の多い中、オンラインの活用など、生徒たちは様々な工夫をして、開かれた文化祭を実施できました。 一年生の発表の中に、社会問題を仕方ないことと諦めず行動を起こすという言葉がありました。5年生の課題解決学習にも例えば授業内容の改善を自分ゴトとしてアクションを起こすというものもありました。ジェンダーの問題を様々な角度から扱った有志企画もありました。 私たちの学校は、女性に参政権がなく、男子と同じ教育は必要がないと思われていた時代に、この問題を自分事として一歩を踏み出した人々が創立しました。その文化が今の生徒たちにつながっていることを誇りに思います。 今年は、ご家族の皆様も限定された時間のみの見学とさせていただきましたので、関係者にオンラインで内容をお伝えする特設サイトを作りました。保護者ページの主任ブログからご覧ください。
◇中等部
社会課題を見つけ、仮説を立て、検証し、解決のアクションに結びつけるという流れで研究発表をします。
デザイン思考のプロセスが各所で使われ、一年生から、「○○ちゃんのプロトタイプが一番よかったので・・・」という会話が飛び交っています。
各賞の発表と教頭の講評です。
1年生
特別賞 E クラス 「荷物警察」
優秀賞 F クラス 「大人も知らない自己紹介」
最優秀賞 A クラス 「はじめての満員電車」
2年生
特別賞 D クラス 「未来両立館(輝く女性)」
優秀賞 A クラス 「あつめて じきゅうの国」
最優秀賞 G クラス 「熱中症」
3年生
特別賞 E クラス 「 Colorful World 」
優秀賞 A クラス 「ジブン。をプロデュース」
最優秀賞 C クラス 「コミュ力向上委員会」
各学年の最優秀賞を獲得したクラスには、それぞれに見事な点がありました。今後の参考のために、みなさんにお知らせします。
「1A」
満員電車という身近な問題は、コロナ感染リスクという条件が重なり、より多くの人が関心を示す問題となっています。そこに着目したところがまずよかったと思います。問題定義から仮説、検証、考察と、限られた条件下で十分に時間をかけて議論・調査をして取り組んだ様子が、展示内容からよく伝わってきました。現状だけでなく、その経緯や過去の取り組みも丁寧に調べ、その内容をもとに鉄道側から乗客側の問題に視点を移してディベートを行うことで、新たな気づきを得ることに成功していました。限られた状況の中で、インタビューや取材も適切に行われており、自分たちで導き出した検証結果に説得力を持たせていました。「仕方がない」「大丈夫」というインサイトから、意識の改革を実現するために、東京都交通局への嘆願書提出、テレワーク推進を来場者へ提言するなど、アクションも具体的でわかりやすいものでした。「行政が悪い」「鉄道会社が悪い」というように、他者に責任をすべて負わせる方向に進まなかった点も、 特によかったと思います。
「2G」
熱中症という、身近でありながら世代を超えて意識すべき問題に着目し、長期的に情報を集め、自分たちで検証している取り組みが、丁寧にまとめられていました。クラス内で行ったディベートもポスターセッション形式という新しい試みに挑戦していたことは非常に評価でき、それによって、内面的・外面的・教育的の3つの視点からクラス内の理解を深めた様子がよく分かりました。中でも、貧乏ゆすりが暑熱循環を起こせるという検証結果には驚かされました。また、教育的視点に落とし込んで、独自の授業案の普及をはかるという解決策については、他校も巻き 込んですでに実践している点が得に素晴らしいと思います。今後も企業と協力して普及活動を行っていくことを決めているので、長期的に取り組んでいくことを期待しています。
「3C」
テーマ設定の経緯が明確で、必要性の検証を自分たちだけでなく企業様にもご協力いただき立証していました。コミュニケーションを苦手とする原因を、日本の教育や親子関係などあらゆる方面から探り、その情報収集のために積極的に活動している様子が伝わってきました。また海外との比較から独自のコミュニケーション教育のアイディアをデザインした点も素晴らしかったと思います。さらにそれを3 つの力に分け、それぞれに役立つワークショップを紹介していた点もよかったと思いますし、実践をした様子を見ていただけるように
QR コードを貼るといった展示も、よい工夫でした。なお、すぐれた提案ですので、今後の活動につなげていくことを期待しています。
以上、いずれも立派な発表でしたが、 今回は3年Cクラスを中等部最優秀賞 ということにしたいと思います。 中等部最上級生にふさわしい 展示でした。
コロナウィルスの影響を受けた今年ほど、テーマ設定から調査にいたるまで、多くの制約があって難しかった時は、なかったと思います。その中でも、 Zoom を使って取材を試みるなど、新しい工夫が生まれました。こうした方法は、来年度以降、通常の活動ができるようになった後でも、上手に 活用 してほしい と思います。
また、現状分析から 仮説をたて、調査 に基づいて 考察 を して 、自分たちなりの 提案 につなげ る、こうした 研究と展示 のあり方をぜひ参考にしてほしいと 、昨年の講評で皆さんにお話ししました。
今年は、どの学年、どのクラスにもこのプロセスをみることができ、たいへんよろこばしく思います。今後もぜひ、継続してください。
クラブ、その他の展示、高等部は後日ご紹介しますね。
◇クラブ、ステージ企画、その他団体
展示 クラブ の表彰です。
今年度は、最優秀賞1 つ、優秀賞 2 つ、特別賞 2 つ とします。
特別賞は2つ 、まず生物部「 生物一遇 」 です。
時間や環境に限りのある中でも、身近なものを使用して、多くの人が共感できるような題材を生物部ならではの視点で選定して実験し、発表していた点は好感が持てます。サンプル数が少ないため、統計データとして結論を出すことが難しい部分がありました が、そのことをきちんと踏まえた上でデータ分析をし、考察、結論までわかりやすく丁寧にまとめていました。特に「菌VS 除菌剤」の実験では、販売されている除菌剤だけでなく、殺菌能力があると言われている食材についても調べており、興味を引かれる展示でした。ただ、実験の写真やイラストなど、視覚的な表現もあるとさらによい展示になると思います。
もう一つは、有志企画のur precious(ゆあ ぷれしゃす)「 ur precious 」です。
女子高生である皆さんが、社会に出た時にどのようなジェンダー問題に直面するのかという身近な問題点に着目し、ジェンダーとは何か、また、それに関する社会問題を、講演会、CM作成、Q&A形式など、わかりやすいだけでなく、来場者が自分のこととして捉えられるように工夫されていた点が素晴らしいと思います。様々な分野で活躍されている方々のインタビュー等を通して集めた情報の多さに、皆さんの熱意を感じました。今回の発表を新たな出発点にして、今後も自主的に活動を継続してほしいと思います。
次に、優秀賞は2つ、まず 被服部「 楓 」です。
「高級品」をモチーフにしながらも、単に品質が高級であるとか、値段の高価なものという視点で捉えるのではなく、「変わらない」という本質に着目したテーマ設定が素晴らしかったです。砂糖やお茶、蜂蜜などは、現代では「高級品」としてあまり認識されていませんが、そうしたものを「変わらない」という視点で見直し、歴史背景を丁寧に調べた上で、それぞれの価値について考察し、オリジナルのデザインにまとめ、丁寧に仕上げた作品に昇華させていました。来場者にも作品に込めた思いが通じる展示発表だったと思います。1 年生の共同作品も よかったです。
もう一つは、クッキング部「 突撃!部員のお昼ごはん 」です。
“調理ができない”という通常の活動が制限された状況下で、自分たちでできることを考え、ITを活用して部員同士の交流をはかり、クラブとしての活動を継続してきた様子がうかがえました。そのひとつとして、部員の食生活に目を向け、アンケート調査を行い、バランスや健康との関係を考え、今後のメニュー作りの参考にするという、今までの活動には見られなかった取り組みもわかりやすく展示されていました。部員各自の昼食について、写真とレシピを公開した展示や、普段の活動の様子をまとめた動画も、見ていて楽しいものでした。
最後に、最優秀賞は、ECC「 SEKAI NO CULTURES 」です。
ハンドサイン、食事、学校など、各国それぞれの特徴的な文化について調べた展示は、楽しく、わかりやすい内容で、来場者を楽しませていました。一方、身の回りの会話の問題点に着目して、そのために語彙力を向上させる取り組みをするだけでなく、論理力・構成力にまで踏み込んで、そのために語彙力を向上させる取り組みをするだけでなく、論理力・構成力にまで踏み込んで活動する様子がわかり、長期的な視点でさまざまな活動を行っているクラブの充実ぶりがうかがえます。そして、英語スピーチの発表会も、部員一人一人のの熱意が伝わる、素晴らしい熱意が伝わる、素晴らしいものでした。
今後もますます活動を充実させて、外部の大会などにも挑戦し続けてください。
クラブ展示については、日常の充実した活動の成果や、部員全員でテーマを深く研究した結果が発表されることを、来年度以降も期待しています。
また、今年のような有志企画に来年も出会えることを期待しています。